Hatena::Grouperlkonig

歩く::地面にナイフを突き立てる理性教徒


魔王城地下4880階
 

歩く::地面にナイフを突き立てる理性教徒

 草原を歩いていると、突然人に出会います。彼らは私の方を見ることもあれば、見ないこともあります。会話をすることもあれば、しないこともあります。だから私は、彼らという人格の一端に触れることもあれば、触れないこともあるのです。

 

 その日はじめて出会ったのは、地面に跪いた男の子でした。男の子は、両手で覆うようにナイフを持っていました。

 

「他人の内面を想像しないで、平気で人を傷つける奴は知能のない犬だ!」

 

 男の子は、地面にナイフを突き立てました。刃先は、わずかな音を立てて土の中に沈みました。

 

「他人の内面をいいように解釈して、無責任な理解を振りかざす奴は汚らしい豚だ!」

 

 男の子はナイフを引き抜いて、また振り下ろしました。ナイフは、先ほどと同じだけの深さまで沈みました。

 

「他人の内面を知っているのに、何も感じず残酷なことができる奴は狡猾な猿だ……!」

 

 男の子は、同じ動作を繰り返します。

 

「消えてしまえ……!」

 

 男の子は繰り返します。

 

「人を平気で傷つける奴は……」

 

 男の子は、いつまでも繰り返します。

 

「この世界から、消えてしまえ……!!」

 

 

Next: 草原を歩くこと、およびその草原について