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歩く::本を閉じ、また開いていること


魔王城地下4880階
 

歩く::本を閉じ、また開いていること

 私は本を閉じました。けれど、依然として本は開いたままでいます。このように書きはじめることで、私はあなた方に私の立場、というか私の文章の在り方を示唆することができるでしょう。この本は既に過去の人によって書き終えられたものであり、これから加筆されることはありません。そして私は、これより本を書きはじめます。

 

 『識子の書』がこの本の題です。またあなた方は、この本をラプンス・ストーリーと呼ぶことになるでしょう。この本はハイパストリーの体裁を持ちますが、私は単に線形的な順序によってこれを記します。そして、私はこの本を第一項から順番に記していくことはありません。いずれにしても、過去と未来の数多の記述がこれを補足し、またそれらの記述はこの本に含まれるでしょう。

 

 そして、私は本を開きます。私は立っており、目の前に草原が広がっています。背後、私の視界の外には魔王の城が見えます。いつか私は魔王の城に帰り、その玉座に腰掛ける女主人に挨拶するでしょう。しかし、私は今目の前の草原に向かって歩き出します。私はこのとき、自分があるきこという名前であることだけを知っているはずです。また同時に、これからの多くの時間自分はあるきこではないのだろうと言うことも予感していました。これが私の最初の記憶です。

 

地面にナイフを突き立てる理性教徒